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塩ビシート防水とは?2種類の工法や施工手順、費用相場を解説

<こんな疑問のある方におすすめ>

・次の防水工事で塩ビシート防水を採用しようか迷っている

・塩ビシート防水とゴムシート防水はどう違うの?

・塩ビシート防水のメリットとデメリットは?

塩ビシート防水はシート防水の一種で、マンションやビルの屋上、住宅の陸屋根など、広くて平らな場所で施工されます。今回は塩ビシート防水の特徴やメリット・デメリット、ゴムシート防水との違いを解説します。ぜひ参考にしてください。

塩ビシート防水とは?

塩ビシート防水とは、塩化ビニル樹脂でできた防水シートを貼り付け、防水層を形成する方法です。シートの貼り付けには、接着剤や専用のディスク盤とビスなどが使われます。

塩化ビニル樹脂はプラスチックの一種で、上下水道や電線から日用品、医療機材までさまざまな分野で活躍しています。耐摩耗性や耐候性、耐熱性、耐圧縮性に優れた素材です。

代表的なシート防水の方法

塩ビシートの耐久性や単価相場を以下にまとめました。

工法耐用年数単価相場(1m2工期
塩ビシート防水密着工法:12~15年機械固定工法:15~18年密着工法:6,000~7,000円機械固定工法:6,500~7,500円1~3日

塩ビシート防水は、工法によって耐用年数や単価が異なります。シート防水に使われる防水シートには、塩ビシートの他に後述するゴムシートがあります。塩ビシートはゴムシートに比べて耐久性に優れているのが特徴です。使われる頻度も多く、シート防水において主流となっています。

塩ビシートとゴムシートの違い

塩ビシートとゴムシートのそれぞれの違いを一覧にまとめました。

シートの種類素材厚み耐用年数単価相場(1m2
塩ビシート塩化ビニル樹脂1.5~2.5mm密着工法:12~15年機械固定工法:15~18年密着工法:6,000~7,000円機械固定工法:6,500~7,500円
ゴムシート合成ゴム1.2~2.0mm10~15年5,000~6,000円

塩ビシートの特徴として、以下が挙げられます。

  • 耐久性と防水性に優れている
  • コストパフォーマンスが良い

塩ビシートは耐久性が優れている割に単価がそこまで高くないので、比較的コストパフォーマンスが良い点が特徴です。一方で、ゴムシートには以下の特徴があります。

  • コストが安い
  • 柔軟性が高く亀裂が入りにくい

ゴムシートは塩ビシートに比べると耐久性は劣るものの、単価自体が安いので初期費用を抑えられます。工期はどちらも1~3日ほどで、大きな差はありません。

塩ビシート防水が適した場所・建物

塩ビシート防水は、特に以下のような場所や建物に適しています。

  • マンションやビルの屋上
  • 住宅の陸屋根
  • 障害物のないベランダやバルコニー

塩ビシート防水は、シート状の防水材を貼り付けていく防水方法です。そのため、凹凸のある複雑な形状への施工は向いていません。広くて平らな場所に最適な防水方法といえます。

塩ビシート防水の工法は2種類

塩ビシート防水には、以下の2つの工法があります。

  • 密着工法
  • 機械固定工法

それぞれの特徴を見ていきましょう。

密着工法

工法名耐用年数単価相場(1m2
密着工法12~15年6,000~7,000円

密着工法は、専用の接着剤を用いて下地に塩ビシートを貼り付けていく工法で、「接着工法」とも呼ばれます。

密着工法は、後述する機械固定工法のように施工に大掛かりな機械が必要ありません。そのため、戸建て住宅のバルコニーや屋上などの狭い場所でも施工可能です。

ただし、下地に直接塩ビシートを貼り付ける工法のため通気性に乏しく、すでに雨漏りしてしまっている箇所へは施工できません。密着工法を行う際は、下地の水分を十分に飛ばし、乾燥させる必要があります。

機械固定工法

工法名耐用年数単価相場(1m2
機械固定工法15~18年6,500~7,500円

機械固定工法は専用の機械を使い、鋼板やビスなどの金具で防水シートを下地に貼り付ける工法です。下地と塩ビシートの間に通気緩衝シートとディスク盤を設置するため、通気性に優れている点が特徴です。密着工法が使えないような、雨漏りがしている箇所や湿り気がある場所にも施工できます。

機械固定工法は密着工法よりも単価相場が高いですが、通気性が確保できる分耐用年数が長いというメリットがあります。しかし、機械を用いて防水シートを貼り付けるため、施工中に騒音が発生しやすい点がデメリットです。

機械固定工法は、ビルやマンションの屋上など機械を移動できるくらいの広さがある場所への施工が向いています。

塩ビシート防水の施工手順

塩ビシート防水の機械固定工法は、以下の手順で施工されます。

  1. 下地補修
  2. 鋼板の設置・絶縁シートの敷き込み
  3. 塩ビシートの敷布
  4. 改修用ドレン・脱気筒の設置
  5. シートの継ぎ目にシーリング剤を塗る

それぞれ見ていきましょう。

下地補修

施工箇所に凸凹があったり荒れていたりした場合、そのまま工事すると塩ビシートに傷がついてしまうおそれがあります。施工箇所が平らになるよう、シーリングやモルタルを用いて丁寧に補修していきます。

鋼板の設置・絶縁シートの敷き込み

塩ビシートが既存の防水層の影響を受けないよう、施工場所に絶縁シートを敷き込みます。なお、絶縁シートは、密着工法では使用しません。

この時に、外周部や段差がある箇所に鋼板を設置します。

塩ビシートの敷布

ディスク盤と呼ばれる円盤状の金物を設置し、その上に塩ビシートを貼り付けていきます。機械固定工法において、塩ビシートが貼り付けられるのはディスク盤と鋼板のみです。この工程をおざなりにすると、継ぎ目から切れたり隙間が開いてしまったりします。

改修用ドレン・脱気筒の設置

改修用ドレンを設置することで、劣化していた排水機能が復活します。落ち葉やゴミによる詰まりを解消するため、ドレンを交換します。

また、脱気筒には塩ビシートの内側に溜まった湿気を外に逃がす重要な役割があります。膨れを防ぎ防水層の長持ちさせる効果もあるので、必ず設置が必要です。

シートの継ぎ目にシーリング剤を塗る

シーリング剤には継ぎ目を保護する役割があります。シーリング剤を塗らないと、経年劣化で継ぎ目が開いて切れてしまう可能性があります。

その後、トップコート(保護塗料)を塗ったら工事完了です。塩ビシートは汚れがつきやすいので、トップコートを塗布することで防汚性能が向上します。

塩ビシート防水のメリット

塩ビシートのメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。

  • 耐用年数が長い
  • 下地の影響を受けない(機械固定工法のみ)
  • 広い面積を短い工期で施工できる
  • かぶせ工法が使える

それぞれ見ていきましょう。

耐用年数が長い

塩ビシート防水の耐用年数は、密着工法で12~15年、機械固定工法で15~18年と、複数ある防水方法の中でも比較的長い部類に入ります。

また紫外線や雨、熱に強く、耐久性も高いためメンテナンスコストを抑えられる点もメリットです。そのため、こまめなメンテナンスが難しいビルやマンションの屋上によく採用されます。

下地の影響を受けない

塩ビシート防水の機械固定工法は、防水シートを貼り付ける前に絶縁シートや通気緩衝シート、ディスク盤を設置します。そのため密着工法のように下地の影響を受けずに施工が可能です。下地補修の手間を最小限に抑えられる点はメリットといえるでしょう。

広い面積を短い工期で施工できる

塩ビシートなら、広い面積を一気に施工できます。また、塗膜防水のような乾燥時間も必要ありません。比較的短い工期で施工が完了するため、人件費や工事費用の削減にもつながります。

塗料を塗り広げる防水方法ではなく、シートの厚みはすべて均一なので、仕上がりにムラができにくい点もメリットといえるでしょう。

かぶせ工法が使える

かぶせ工法とは、既存の防水層を撤去せずその上から防水工事を施す工法です。塩ビシート防水の機械固定工法の場合、下地の影響を受けないため、かぶせ工法を使えます。かぶせ工法は、既存防水層の撤去費用や手間がかからないほか、廃棄物の削減にもつながります。

塩ビシート防水のデメリット

メリットが多い一方で、塩ビシート防水には以下のようなデメリットもあります。

  • 複雑な形状に対応できない
  • 継ぎ目が劣化しやすい
  • 工事中に騒音と振動が発生する

それぞれ見ていきましょう。

複雑な形状に対応できない

塩ビシート防水は防水シートを貼り付けていく防水方法です。そのため、凹凸や障害物が多いような複雑な形状の場所への施工は向いていません。屋上の配管周りや角部分の施工には、技術力が必要です。

複雑な形状の場所への防水工事は、ウレタン防水やFRP防水といった塗膜防水が向いています。

継ぎ目が劣化しやすい

塩ビシート防水は防水シートを貼り合わせて防水層を形成します。そのため、経年で継ぎ目が劣化し、隙間ができて雨水が浸入しやすくなる点がデメリットです。また継ぎ目だけでなく、経年と共に塩ビシートが固くなり、ひび割れしやすくなるというデメリットもあります。

継ぎ目の状態をこまめに確認し、必要に応じてメンテナンスしましょう。

工事中に騒音と振動が発生する

塩ビシート防水の機械固定工法は、金具の固定にドリルを使用します。そのため、どうしても騒音や振動が発生してしまうのが難点です。機械固定工法で施工する場合は、近隣住民にその旨を伝え、事前に挨拶しておきましょう。

塩ビシート防水と他の防水方法の比較

塩ビシート防水と、他の防水方法の特徴を表で比較しました。

防水方法耐用年数単価相場(m2工期適した場所
塩ビシート防水密着工法:12~15年機械固定工法:15~18年密着工法:6,000~7,000円機械固定工法:6,500~7,500円1~3日ビルやマンションの屋上、住宅の陸屋根・バルコニー
ゴムシート防水10~15年5,000~6,000円1~3日ビルやマンションの屋上、住宅の陸屋根・バルコニー
ウレタン防水密着工法:7~10年通期緩衝工法:10~15年密着工法:4,000~6,000円通気緩衝工法:5,000~7,000円3~7日住宅のベランダ、バルコニー、屋上
FRP防水10~12年6,000~9,000円1~2日住宅のベランダ、バルコニー
アスファルト防水15~25年常温工法:7,000~9,000円トーチ工法:5,500~7,000円熱工法:6,000~8,000円6~10日ビルやマンションの屋上、共用廊下

塩ビシート防水はアスファルト防水の次に耐用年数が長く、比較的費用も安い点が特徴です。コストパフォーマンスに優れた防水方法だといえるでしょう。

塩ビシート防水の施工業者を選ぶポイント

塩ビシート防水の施工業者を選ぶポイントとして、以下が挙げられます。

  • 塩ビシート防水の施工実績が豊富か確認する
  • 相見積もりをして適正価格の業者を見極める
  • 保証内容やアフターサポート体制が充実しているか確認する

塩ビシート防水は、配管周りや角部分の施工には特に技術が必要です。塩ビシート防水の施工実績が豊富な業者であれば、ある程度のノウハウが確立されていると考えられます。施工実績は、各業者のホームページやパンフレットで確認できます。

塩ビシート防水は使い勝手の良い防水方法

シート防水の主流である塩ビシート防水は、耐久性が高く広い面積を短い工期で施工できる点が魅力です。密着工法と機械固定工法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、施工箇所にはどちらが向いているか、業者を相談しつつ検討しましょう。相見積もりを行うと、適正価格がわかります。

防水の専門家に工事を依頼したい方は、ぜひ「屋上防水プロ」をご活用ください。

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