
<こんな疑問のある方におすすめ>
・一戸建ての防水工事の費用ってどれくらい?
・ベランダだけ工事したいけどいくらかかるの?
・損しない業者の選び方を知りたい!
一戸建ての防水工事は、建物の耐久性を高めて寿命を延ばす重要な役割があります。一戸建ての防水工事には一体いくらかかるのでしょうか。今回は一戸建ての防水工事の費用について、防水方法や施工箇所ごとに解説します。ぜひ参考にしてください。
一戸建ての防水工事は必要不可欠
一戸建てに防水工事は必要なのか、疑問に思う方もいるでしょう。
住まいの屋根や屋上、ベランダ・バルコニーは一年を通して雨風や紫外線にさらされています。近年ではゲリラ豪雨や台風といった自然災害が増え、夏場は気温が40度を越える日も多く、強烈な紫外線が降り注ぐようになってきました。
こうした自然環境の影響をもろに受ける屋根や屋上、ベランダ・バルコニーは、そうでない箇所に比べ劣化のスピードが早いといわれています。
建物にとって水や紫外線は大敵です。建物自体の寿命を縮めないためには、雨風や紫外線にもっともさらされる箇所の防水工事が必要不可欠です。
一戸建ての防水工事の費用相場
ひとくちに一戸建ての防水工事といっても、屋上や陸屋根のあるなし、ベランダやバルコニーの数などで費用は大きく異なります。また、防水工事の種類によっても相場は変わります。参考までに、防水工事の種類別の費用相場と、諸費用の相場を見ていきましょう。
防水工事の工法別の費用相場
主な4種類の防水工事の費用相場は、以下の通りです。
防水の種類 | 単価(1m2) | 耐用年数 | 適した場所 |
ウレタン防水 | 密着工法:4,000~6,000円通気緩衝工法:5,000~7,000円 | 密着工法:7~10年通気緩衝工法:10~15年 | ベランダ、バルコニー、屋上 |
FRP防水 | 6,000~9,000円 | 10~12年 | ベランダ、バルコニー |
シート防水 | 4,000~8,000円 | ゴムシート:10~15年塩ビシート:10~20年 | ゴムシート:屋根、屋上塩ビシート:屋根、ベランダ、バルコニー |
アスファルト防水 | 5,000~8,000円 | 15~25年 | ビルやマンションの屋根、屋上 |
4種類の中ではウレタン防水がもっとも安価で、FRP防水やアスファルト防水の費用が高くなる傾向があります。
その他の費用相場
防水工事の費用は、施工費用と高圧洗浄や下地処理といった諸費用の合計になります。施工費用以外の諸費用の相場は以下の通りです。
項目 | 費用相場 |
高圧洗浄費用 | 150~300円/1m2 |
下地処理・ケレン費用 | 200~500円/1m2 |
下地補修費用 | 1,000~1,500円/1m2 |
改修ドレン設置費用 | 20,000~25,000円/1箇所 |
脱気筒設置費用 | 約15,000円/個 |
発生材処分費用 | 10,000~25,000円/一式 |
諸経費(荷下ろし代など) | 10,000〜25,000円/一式式 |
足場設置費用 | 12万~15万円 |
防水工事では上記以外に管理費用が請求されます。管理費用の相場は、工事費用の5~10%ほどです。
一戸建ての防水工事は4種類
防水工事は、以下の4種類のいずれかの方法で施工されます。
- ウレタン防水
- FRP防水
- シート防水
- アスファルト防水
それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。
<h3>ウレタン防水</h3>
防水の種類 | 単価(1m2) | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 密着工法:4,000~6,000円通気緩衝工法:5,000~7,000円 | 密着工法:7~10年通気緩衝工法:10~15年 |
ウレタン防水は、一戸建ての防水工事でよく採用される防水方法です。
液状のウレタン樹脂を塗り広げて防水層を形成するため、凹凸など複雑な形状の場所にも施工できます。密着工法は一戸建てのベランダやバルコニーといった狭い場所に適していて、通気緩衝工法はマンションの屋上やアパートの屋根などでよく施工されます。
FRP防水
防水の種類 | 単価(1m2) | 耐用年数 |
FRP防水 | 6,000~9,000円 | 10~12年 |
FRP防水も一戸建ての防水工事でよく施工される防水方法です。
FRP防水は繊維強化プラスチックでできたシートの上からポリエステル樹脂を塗布し、この工程を繰り返すことで防水層を形成します。柔軟性には乏しいため、一戸建てのベランダやバルコニーといった狭い箇所に施工されます。
FRP防水は繊維強化プラスチックの持つ優れた耐久性と防水性が魅力で、乾くのが早いため工期も短く済みます。近年、FRP防水を施工する新築一戸建てが増えてきているようです。
シート防水
防水の種類 | 単価(1m2) | 耐用年数 |
シート防水 | 4,000~8,000円 | ゴムシート:10~15年塩ビシート:10~20年 |
シート防水は、ゴムや塩化ビニルでできたシートを緩衝材の上に敷設して防水層を形成する防水方法です。ウレタン防水やFRP防水のような塗膜防水でないため乾燥させる必要がなく、短い工期で施工できます。また、耐用年数が比較的長い点も魅力です。
シート防水は平らで広い場所が適しているため、一戸建てよりもマンションやビルの屋上に施工されることが多いです。しかし、塩化ビニルシートをベランダやバルコニーに施工するケースもあります。
アスファルト防水
防水の種類 | 単価(1m2) | 耐用年数 |
アスファルト防水 | 5,000~8,000円 | 15~25年 |
アスファルト防水は、アスファルトと合成繊維でつくられたシートを貼り重ねて防水層を形成する防水方法です。4種類の中でもっとも耐久性が高く、耐用年数が長い点が特徴です。
アスファルト防水は重量があり、また平らで広い場所に向いているため、主にRC造のビルやマンションで施工されます。そのため、一戸建ての防水工事で採用されることは極めて稀です。
一戸建ての部位別の防水工事費用相場
一戸建ての防水工事の費用は住宅の構造や防水方法によって幅があるものの、以下の部位ごとに費用の傾向や大体の相場はわかります。
- 屋根・屋上
- ベランダ・バルコニー
- 外壁
それぞれ見ていきましょう。
屋根・屋上
陸屋根や屋上の防水工事の費用相場は、50m2(約15坪)で25万~38万円、100m2(約30坪)で60万~90万円といわれています。これはウレタン防水を採用したケースで、他の防水方法で施工した場合費用は変動します。また、既存防水が劣化していない場合は下地処理費用が抑えられる可能性があります。
陸屋根や屋上の防水工事で注意したいのは、依頼先です。もし雨漏りが発生していたり、すでに損傷が見られたりする場合、屋根修理の専門業者に依頼してみましょう。防水専門業者は防水工事の知識は豊富ですが、屋根の構造に関しては屋根修理業者のほうが詳しいことが一般的です。
屋根修理の専門業者に相談をして、必要であれば防水専門業者に依頼しましょう。
ベランダ・バルコニー
ベランダ・バルコニーはウレタン防水やFRP防水が施工されるケースが多いです。3~10m2のベランダ・バルコニーの場合、ウレタン防水は8万~12万円、FRP防水は10万~15万円が費用相場となります。ベランダ・バルコニーのトップコートの塗り直しだけであれば、3万~5万円ほどで施工可能です。
広いバルコニーだと、シート防水が施工される場合もあります。その際、施工費用とは別に既存のシートの撤去費用が追加されます。
外壁
外壁の防水工事は他の箇所とは施工方法が異なり、防水塗料を塗布します。防水塗料の種類別の費用相場は以下の通りです。
防水塗料 | 単価(1m2) | 耐用年数 |
アクリル系 | 1,000~1,500円 | 4~7年 |
ウレタン系 | 1,800~2,300円 | 6~10年 |
シリコン系 | 2,300~3,300円 | 8~15年 |
フッ素系 | 3,500~4,500円 | 15~20年 |
硬化速度はどの塗料もさほど違いはなく、工期は大体8~10日ほどです。外壁の防水工事は一戸建ての外壁すべてに施工する必要があり、費用相場は90万~120万円となります。外壁の防水工事は、10年に1度を目安に行うほうが良いといわれています。
一戸建ての防水工事のメンテナンスサイン

一戸建ての防水工事のメンテナンスサインを、屋根や屋上、ベランダ・バルコニー、外壁などの部位別に見ていきましょう。
屋根
屋根は雨風や紫外線にもっともさらされる場所です。そのため防水層が劣化しやすく、定期的な防水工事が欠かせません。
屋根でよく見られる劣化症状として、以下があります。
- 屋根材のズレ・割れ
- 屋根材の変色・カビ
- 天井のカビや雨の染み
- 屋根材の浮き・めくれ
- 天井の湿気・雨漏り
屋根は目視が難しい部分でもあるので、定期的な点検やメンテナンスが必要です。屋根の防水工事は、10年に1度を目安に行いましょう。
屋上
屋上も屋根同様、雨風や紫外線の影響をもろに受ける場所です。屋上の劣化症状として、以下が挙げられます。
- 表面の色褪せ
- 水溜まり
- 藻や植物の繁殖
- 防水層の膨れ・亀裂
- 排水溝(ドレン)の詰まり
- 雨漏り
屋上に水溜まりができるのは、防水性能が劣化している証拠です。また、排水溝に枯れ葉などが詰まるとうまく排水できなくなり、水溜まりの原因になります。こまめな掃除も大切なメンテナンスです。
ベランダ・バルコニー
ベランダ・バルコニーの劣化症状として、以下が挙げられます。
- 階下への雨漏り
- 汚れやカビの付着
- 防水層の剥がれやひび割れ
- 排水溝の亀裂
- 色褪せや変色
ベランダ・バルコニーや屋根・屋上の劣化症状は似ており、表面のトップコートや防水層の劣化によってひび割れや膨れ、剥がれなどが典型的です。ベランダ・バルコニーの防水耐用年数は防水方法によって異なりますが、大体10年を目安にメンテナンスを行いましょう。
外壁
外壁にもシーリングや塗装により防水層が形成されますが、紫外線や温度差によって劣化していきます。外壁の主な劣化症状は以下の通りです。
- コーキング(シーリング)の劣化
- 水滴や水垢の付着
- 防水塗料のひび割れ・剥がれ
- カビや汚れの付着
- 外壁の色褪せ・変色
コーキング(シーリング)の劣化やひび割れ、剥がれを放置していると雨水が浸入し、雨漏りの原因となります。外壁も10年を目安に防水工事を行いましょう。
一戸建ての防水工事業者を選ぶポイント
一戸建ての防水工事を行う際、業者選びは重要です。適切な業者を選ぶには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 複数社を相見積もりする
- 防水関連の資格保有者がいるか確認する
- 施工実績が豊富か確認する
- アフターサポート内容を確認する
一つずつ解説します。
複数社を相見積もりする
一般的に、業者と契約する前に見積もり依頼をして、大体の費用を把握します。その際、少なくとも3社以上に依頼して相見積もりするのがおすすめです。
相見積もりをすることで、依頼する防水工事内容の費用相場がわかります。費用が極端に高かったり安かったりする業者は除外しましょう。また、内訳や施工内容の詳細がきちんと記載されているかどうかも重要なポイントです。見積もり内容が大雑把すぎると、後々トラブルに発展する可能性があります。
防水関連の資格保有者がいるか確認する
防水関連の資格保有者がいるかどうかは、業者の技術力を証明する一定の指標になります。防水工事関連の資格には、以下のようなものがあります。
- 一級防水施工技能士
- 一級樹脂接着剤注入施工技能士
- 改質アスファルトトーチ工法施工技能士
- 一級塗装技能士
- 雨漏り診断士
また、請負代金が500万円以上の大規模な防水工事を担当するには、国土交通省もしくは各都道府県からの「建築業許可状」が必要です。建築業許可状を持っているか否かという点も、業者選びの参考にしても良いかもしれません。
施工実績が豊富か確認する
施工実績の豊富さは、顧客満足度の高さや経験の豊富さを表す指標です。
過去の施工事例を自社のホームページやパンフレットに載せている業者も多く、参考になります。ホームページを見れば一戸建ての施工実績が多いのか、マンションやアパートの防水工事をメインに行うのか、業者の傾向もわかります。業者評判を知りたい場合は、SNSなどを活用するのもおすすめです。
アフターサポート内容を確認する
施工が丁寧な優良業者は、保証やアフターサポートが充実している傾向があります。防水工事は決して安くないので、以下のようなサポート内容も重視したいところです。
- 工事後に起こった不具合やトラブルへの対応
- 工事完了後の定期点検や補修
- 工事完了後の施工報告書の内容
- 保証制度
上記がどうなっているか、契約前に確認しましょう。
一戸建ての防水工事費用は施工箇所数・面積で異なる
一戸建ての防水工事費用は、住宅の構造や施工範囲、防水方法によって異なり、ひとくちに相場といっても非常に幅広いのが特徴です。一戸建ての防水工事にはウレタン防水やFRP防水を採用することが多く、屋上や広いバルコニーにはシート防水を施工するケースもあります。施工業者を選択する際は相見積もりを行い、信頼できるところを選びましょう。
防水の専門家に工事を依頼したい方は、「屋上防水プロ」をぜひご活用ください。